超SS級B級映画
今回は「えびボクサー」という映画について書こうと思う。
この映画を見たのは半年ほど前であるが、ふとした事で思い出したので書く事にする。
「えびボクサー」とはカルピスの原液一滴を水2ℓで薄めた様な感覚の映画である。
映画の味がする様な、しない様な…
いや、断じてするわけがない。
だって水2ℓで薄めてるんだもの
まず、この映画のおおまかなあらすじについて説明すると
今は一線を退いた元ボクサーが巨大なエビを友人から買って、TVに売り込む
という内容である。
断じて自分の頭がおかしくなっているわけではない、おかしいのはこの映画なのだ、という事をどうか理解して頂きたい。
この映画のメインは「エビ」であるが、これがまたひどい。CGは一切使われておらずハリボテであり、縛られている為に最初から最後まで動くシーンがない。強いていうのであれば伸びている触覚だけは絶え間なく動いてはいたが、「だから何なんだ」と言われてしまえばそこまでである。
エビがこの様な出来なのでエビが出てくる全てのシーンで盛り上がりに欠け、特に山場を迎える事なく映画は終わっていく。
そして肝心のギャグでは笑う要素がなく(ギャグの概念が壊れている)登場人物のヤケに高いテンションの空回り具合を見ていれば、時間が経つにつれ自分の表情筋が脱力していく事を嫌でも感じさせる事であろう。
この映画自体はギャグを主体としているが、例えるのであれば"全く面白くないフルハウスにハリボテの巨大エビが佇んでる"という奇妙な絵面でこれを見てる自分自身の正気を疑う出来に仕上がっている。
もう一つ言える事として、登場人物全員がまともじゃない。これだけ聞くと一見面白い映画のキャッチコピーの様になってしまったが、登場人物の中に誰一人としてまともな思考回路を持った人がいないというのは相当やっかいな状況であり、結果として映画全体を狂気が包み込むという無残な結果になってる。
コンドームに水を詰めて投げ合ったり、アイスを身体に塗るプレイに興じたり、嬉々とした枕営業(しかも不倫)だったり、これを狂気と言わずして何と言うのであろうか。
よく「呪いのビデオ」という触れ込みでホラー作品が挙がっていたりするが本当に呪いが込められていそうなのはまずこの映像なのでは無かろうか。
えびボクサーを見た感想は
「なんだこれは!!」
といったものでは断じてない
せいぜい
「あぁ…」
程度が関の山である。
かつてここまで毒にも薬にもならない映画があっただろうか。
つまらない映画なら、つまらない映画なりにしっかりと毒になり、自分は毒を盛られたなりのリアクションを取る所存であるが、残念ながらこの映画を見た時はなんのリアクションも取ることが出来なかった。
殺すならちゃんと殺してくれ
と頼みたくなる気持ちだ。
以前虚無感に関する記事を書いたが、この映画を見た直後なら誰であっても「虚無感を抱える」種目の指定強化選手になる事が可能であろう。いや、メダリストだって夢では無いはずだ。
この記事を書くにあたって
他の人はどんな感想を抱いているんだろうか?
という興味本位で「超映画批評」を見たらまさかの90点だった。
家族を人質にとられているのかと本気で疑ったが、感じ方は人それぞれという事だろう。
この記事を見たあなたも本当に暇で暇でしょうがないのなら是非この映画を見て、自分なりの感想、答えを見出してほしい。(哲学)
p.s. 毒を盛られていると気付かないくらいにゆるりと回る毒かもしれません